今週は「前向きの効果」についてお話しします。
気持ちが前向きになることで、
ものごとがうまくいくというのは、
経験上理解しやすいと思います。
しかしそれが数値となって検証できるかというと、
なかなか難しいところがあります。
この問題に対し、科学的な検証を行い、
前向き度がどのように人々の成功につながっているかを
証明したのが、「ポジティブ心理学」です。
「ポジティブ心理学」では、
「成功」が「幸福」をもたらすのではなく、
「幸福であるから成功を収めることが出来るようになる」という
「幸福優位性」を提唱し、
様々な例を科学的に実証しています。
例えば幸福度が健康に与える影響を調べた実験では、
以下のような有名な話があります。
ノートルダム教育修道女会に属する
180人のカトリック修道女たち
(全員1917年以前の生まれ)の古い日記を、
50年後、ある優れた研究所のグループが調査しました。
この日記に含まれるポジティブ感情をコード化し、
20歳の時の幸福度がその後の人生に
どう関わるかを調査したのです。
すると、楽しそうな内容を書いていた修道女たちは、
ネガティブなあるいは普通の内容を書いていた修道女よりも、
10年近く長生きしました。
修道女たちが85歳の時、
幸福度が高い方の25%に入っていた人たちの
90%がまだ存命だったのに対し、
幸福度が低い方の25%に入っていた人たちは、
34%しか残っていなかったのです。
また競争優位性に関するこんな実験結果があります。
ハーバード大学のマーティン・セリグマン博士が、
生命保険会社の外交員に楽観度テストを行い、
その結果と離職率・契約高の関係を調べました。
すると、楽観度テストで下半分にいた人々は、
上半分にいた人々よりも2倍辞める確率が高く、
下位四分の一にいた人々は、
上位四分の一にいた人々よりも、
3倍辞める確率が高かったのです。
契約獲得高を見てみると、
上位半分の人たちは、下位半分にいた人たちよりも
20%多く保険契約を獲得し、
上位四分の一の人たちは、下位四分の一の人たちよりも、
50%も多く契約を取ったのです。
更に幸福度は、収入にも影響を与える結果が出ています。
イリノイ大学のE・ディーナー博士は
ある大学の卒業生の19年後の年収を比較しました。
大学入学時の性格調査でポジティブ度が高かった学生と、
ポジティブ度が低かった学生の年収を比べると、
19年後には15,000ドルもの開きがあったのです。
これらのことからわかるように、
前向きな姿勢は、「健康」「競争優位性」「収入」など
様々なものに影響を与え、
個人の生活だけでなくビジネスや、組織活動の
パフォーマンス向上にも役立つのです。
それでは、これらの「幸福度」は
最初から備わっている人たちだけの恩恵なのでしょうか。
1890年に『心理学の諸原理』を著した
ウィリアムス・ジェームスはこう言っています。
「行動の傾向が効果的に定着するかどうかは、
どのくらい連続的に数多くその行動が起きて
脳がその使用に適応したか、だけに関係する。」
つまり、頻繁に同じ行動を繰り返すことで、
それが習慣として定着するということです。
前向きな考え方が最初から備わっていれば申し分ないですが、
例え今現在、前向きな考え方が出来なくても、
それは日々の鍛練で出来るようなるということです。
今からでも遅くはありません。
「前向き」の恩恵を受けるため、
小さなことから「前向き度アップ」の
行動を始めていきましょう。